08
2016

名物「安宅切」と圧切長谷部の拵の本歌(重文)を見に福岡市博物館に行きました

展示期間もうすぐ終了しますが安宅切と、その拵で圧切長谷部の拵の本歌である重要文化財 金鮫青漆打刀拵を観に行った感想です。福岡市博物館さんが「ペアルック」とツイッター・ブログで紹介して話題となりましたね。確かに拵はよく似ていました。一方、刀本体は結構違う印象を受けました。

重文 金霰鮫青漆打刀拵と刀 名物「安宅切」

実はカメラを忘れたり写真を撮り忘れたり他の企画展を観に行ったりして(写真撮影NGの「経塚フロンティア2016」がただただ最高。他の部屋の展示もすごく良い)、安宅切展示期間中5回福岡市博物館の企画展示室に行っているのですが、安宅切は見る度受ける印象が違うし注目するポイントとかも変わるすごく不思議な刀でした。これを書いている今もまだどう扱っていいのかわからないところ……。腕が全然未熟なのもありますが、写真も撮るたびに「前のほうが良く撮れてる」と思うことが多いです。

ちなみにTwitterで第一報をツイートしたら「『安宅切』は何と呼ぶのですか?」という反応があったので、キャプション(拙ブログでは丸上げはしないつもり)では「あたきぎり」であったことを重ねてご報告いたします。

まず重要文化財の拵。
左横に参考資料として、小さく圧切長谷部の拵の写真が置いてありました。1月には実物も見たのですが、圧切長谷部の拵は明るい金色で、特に目立つ汚れや傷のようなものなどもありませんでした。
一方、安宅切の拵の金の板は一部くすんでいて(特に鐺のあたり)、霰もいくつも窪んだ状態、そして返角のあたりに補修の跡が見え、「使い込まれている感」というか、この拵が経てきた年月を感じさせるものがありました。また柄巻の糸が革で、圧切のそれと比べて大分使い込まれている印象を受けました。

重文 金霰鮫青漆打刀拵・鐺周辺

重文 金霰鮫青漆打刀拵・返角
返角は明らかに周辺の漆が取れて亀裂が入ったのを補修している感じでした。

柄巻は圧切も安宅切も薫韋(ふすべかわ)巻だそうですが、大分違う印象。
重文 金霰鮫青漆打刀拵・柄
参考資料として下の写真が圧切長谷部の柄(以前Upしたものを再掲)。革紐の具合が全然違います。
圧切長谷部の柄
このあたりでいえば鐔も全然違いますね。写真にはうまく写らなかったのですが、安宅切の鐔には放射状に溝が入っていました。
この2枚の写真に写っている他の部分、例えば栗形の周囲の金の粒とか、鐺、頭や鐔の縁(の波模様と金の粒)などは大体同じに見えました。

それと、人が圧切長谷部と比べると圧倒的に少ない(それでも普通のお客さんの他、刀剣ファンっぽい人や審神者や刀匠らしき人、あと校外学習の子どもたちで、今年の黒田家名宝展示の中では体感一番多いので、鑑賞や写真撮影は人がいないときを見計らってやっています)ので、色んな角度からじっくり見ることができたのですが、人がいない時間を見計らって屈んで拵を下から眺めると金霰の板の継ぎ目がはっきりと見えました。写真では見づらくて申し訳ないのですが、下の方のうっすら見える茶色とか黒っぽい線がそれです。
重文 金霰鮫青漆打刀拵・金の板の継ぎ目
継ぎ目が他にもないか確認しましたが、ちょっと見える範囲には見えなかった(真上から見たかったけれどそれはさすがに無理だった)ので、下から一周するように金の板を巻きつけているのだと思います。
他に違うところといえば、やっぱり反りが安宅切のもののほうが反りが強かったですね。

鎺。
刀 名物「安宅切」・鎺
安宅切は丸棟でした。丸棟あまり見ないから新鮮でした。
刀 名物「安宅切」・鎺

キャプションには鎺にも銘があると書いてありましたが、確認することはできませんでした。

安宅切本体。

まず目立つのは茎の金象嵌銘「あたき切 脇毛落」。
刀 名物「安宅切」・茎
そしてその下から茎尻にかけて、作者名の「備州長船祐定」が切ってありました。
刀 名物「安宅切」・茎(作者銘 備州長船祐定)
「祐」の字は肉眼でも読めたのですが、他の字、特に「長船」の「長」の字はガラス越しだと単眼鏡を使えば文字自体は見えるものの、文字として読めるか読めないかがかなり微妙なところでした。

安宅切本体は、拵の影響でどうしても圧切と比べてしまうのですが(長船派の刀を見た経験もあまりないので)、圧切が身幅がかなり広くて反りが浅く(義元左文字といい、こういう刀が好きなのかも)、さらに皆焼刃という強烈な印象を与える刀だったので、それと比べると一見「いわゆる普通の日本刀っぽいなあ」というのが第一印象でした。
刀 名物「安宅切」

しかし、遠い距離からみたり、一度別の展示を観て戻ってまた観たりすると、そのときによって違う印象を受けました。
先ほど身幅の話をしましたが、最初は圧切と比較して「狭い」と感じましたが、圧切のことを切り離して単体で見ると「割と広くて、存在感がある」と思いました。
刀 名物「安宅切」・刀身
刀 名物「安宅切」・鋒

あと刃文は割とおだやかな印象を受けましたが、刃こぼれっぽいものや、鍛えを見ようとしたら擦った傷のようなものが多く見えて、実戦の刀なんだなと思ったり。
刀 名物「安宅切」・刀身アップ
上の写真中央、横に走る白い線みたいなのがその擦った傷のようなもの。
刀 名物「安宅切」・刀身アップ
刃文はほぼ直刃だと思うのですが、茎のあたりが少しだけ乱れてました。

うまくまとまりませんが、最後は横に並ぶ日本号とのショット。日本号は普通のお客さんや校外学習の子どもたちにかなり人気。
日本号と刀 名物「安宅切」
黒田家名宝展示での刀剣展示は一旦終わり、次が6代藩主夫人黒田幸子和歌と手紙、そしてその次が来年の圧切長谷部。
圧切の人出がどのようになるのか非常に気になります。去年は最長3時間待ちだったようですが、今年はどうなることやら。
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