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2016

立花家史料館で「よくわかる刀剣の見方」を見てきました・特盛版

ずいぶん遅くなって一部展示終了してしまいましたが、前回(立花家史料館文化講座「へし切と雷切、その主たち―俺色に染まれ―」を受講してきました)の続き、立花家史料館で「よくわかる刀剣の見方」を見た話をします。
前回の記事、拡散されて中国・台湾の方にまで読んでいただいているようで驚いております。「黒田家の刀の話は少ないけど、雷切丸の話がある」(意訳)、その通りです、すみません。書きたい話は山ほどあるのですが(実際講座の内容の半分くらい)、ちょっとそこまで書いていいかわからなかったので……。今回雷切丸の写真を載せてるので許してください。

「特盛版」とついているのは、5/18とは別日、6/4に行われたギャラリートークの内容を含むためです。
あと展示物の写真撮影が可能だったのでヘタですが、いっぱい写真も載せています(もっと見たい人は後述のGoogleさんへ)。

立花家史料館は御花の入場料込みで入館料500円(「柳川特盛きっぷ」で食事を御花で食べると無料、「わの会」会員証提示で450円)で、チケットを見せれば当日に限り何度でも再入場可能で素晴らしいところでした。
立花家史料館「よくわかる刀剣の見方」ポスター
ちなみに写真のイラストは公式の擬人化、立花雷切丸さんです。Twitterもやっていらっしゃいます。

そして本文入る前に、アプリの紹介。
もしAndroidデバイスを持っていたら音声ガイドとして、あらかじめ無料アプリの「立花家史料館ガイド」をインストールして、3つのコンテンツをダウンロードしてから行くのを本気でおすすめします。私はタブレットに入れて持って行ったのですが現地ではもちろん、予習・復習もできる神アプリです。

立花家史料館ガイド

立花家史料館ガイド


無料


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「Androidデバイスを持って無いよ」という方には、なんとWeb版Google Cultual Institute)が用意されているのでそちらをご覧ください。超高精細画像です。これも無料ってすごい……。
立花家史料館は幅が狭く縦に長くて、両サイドの大きなケースに物があるという展示でした。そして、そのケースの高さがかなり低いのが特徴的でした。
立花家史料館内部
ギャラリートークは人数多かったので床に座って見ていた時間があったのですが、そうするとなかなか見やすかったです(特に刀剣)。下の写真はトーク中に撮った雷切丸。l
脇差 無銘(雷切丸)・斜め下から
ただ普通は座ると他の人の邪魔になるので、屈んで見るのをおすすめします。


史料館入ってすぐのところにあるのは立花誾千代の甲冑と、立花宗茂の親衛隊がかぶったという金箔押桃型兜の復元。
立花誾千代の鎧と金箔押桃型兜

次はスポット展示「江戸のながめ、名所めぐり」
参勤交代の江戸土産として残された江戸の風景を写したものの展示でした。
隅田川両端一覧
隅田川の浮世絵(線は版画で、肉筆で着彩されている)。台東区あたりの風景なのだそう。
江戸名所双六蒔絵杯
江戸の名所が双六のようにしてえがかれた蒔絵の杯。これの他にも品川とか日本橋とか江戸の名所が描かれた蒔絵の杯が沢山展示してありました。

次のコーナーは甲冑のコーナーで一番目立つのが、立花宗茂の甲冑「伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足」と、黒田長政から贈られた「火縄銃 銘 墨縄」。
伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足

火縄銃 銘 墨縄
この2点は去年、福岡市博物館の大関ヶ原展でも展示されていましたね。
両方とも音声ガイドがついているのですが、甲冑の方はキャプションに書かれていない秘密を立花宗茂様自ら解説してくださるので、ぜひ聞きながら見てほしいです。

立花家当主の甲冑群
反対側のケースには歴代当主の甲冑群。一個一個の写真を撮るの忘れているのですが、籠手とかをよく見ると立花家の祇園守紋があしらわれていて観てて面白かったです。

甲冑コーナーを過ぎるとようやくお目当ての……の前に「よくわかる刀装具の見方」コーナー。
立花家史料館「よくわかる刀装具の見方」
「素材・技法に注目する」の名前通り、材質や技法の解説、そしてそれがどの展示された刀装具に使われているかが書いてあって、かなりわかりやすかったです。「象嵌」とか大体イメージは湧くけど具体的にちゃんと説明しろと言われると……となるような単語についてきちんと定義がされていて、目から鱗が落ちました。
鯱図大目貫
雲竜金象嵌鐔


壁に展示されている戸次道雪や立花誾千代などのパネルなども見ながらまわると、いよいよ刀剣コーナー。
立花家史料館 特集展示 柳川藩主立花家の刀剣
壁面には大まかな展示の分類のほか、刀の見方についてポイントごとにまとめた紙が貼ってありました。
立花家史料館「よくわかる刀剣の見方」展示の様子

立花家史料館「よくわかる刀剣の見方」展示の様子
また各刀のキャプションの横に見所が書いてあってすごく分かりやすかったです。例として下の写真は雷切丸のキャプション。左に見方を語るための用語が全て書いてありました。
雷切丸のキャプション


潤塗祇園守紋蒔絵刀筒
最初の拵の横に飾ってあった、立花家の祇園守紋の入った刀筒。刀筒は初めてみましたが派手で綺麗ですね。

以下、刀剣については、ギャラリートークで話にでた順にそって書こうとおもいます。

脇差 無銘(雷切丸)


まずは今回の展示とギャラリートークの目玉、脇差 無銘(雷切丸)
脇差 無銘(雷切丸)
ゲームやる前からなぜか名前を知っていた数少ない刀です。
元の名は「千鳥」でしたが、立花誾千代の父(宗茂の義理の父)である戸次道雪がこの刀で雷を切ったから「雷切丸」という名がついたそうです。
ギャラリートークで学芸員さん(刀剣担当の若い方)に聞いた話では「~丸」という名は「人格を表したような感じ」とのこと。なので立花雷切丸くんがいても平気なんですね。また、物ごと人を切った刀の名前を複数挙げて「(人を切らずに物を切った名前が付けられて)雷切丸はなんと牧歌的な」と仰っていたのが強く印象に残っています。
雷切丸は去年の九博の戦国大名展でも見ましたが、そのときは黒背景で控えめな照明だったので、今回の展示は結構違う印象を受けました。細身でスッとしていて、反りの綺麗な刀だな、と思いました(学芸員さんの推しポイントも反り)。
脇差 無銘(雷切丸)・鋒
鋒付近の棟にはちょっと不思議な跡っぽく見える黒い部分が。
戦国大名展でのキャプションでは「雷を落ちた跡かも」というようなことが書いてあったと思うのですが、詳細は不明だそう。実際に雷を落としたらどうなるか学芸員さんが雷の専門家の方に聞いたそうなのですが、「爪の先ほどの跡も残らないのでは」とのこと。うーん、なんか残念。
脇差 無銘(雷切丸)・茎
茎は大磨上で作者の銘はなし(目視できませんでしたが裏に「立花飛騨守所持」と金象嵌で入れられているとのこと)。
学芸員さんによると「磨り上げられる前の刃長はわからないが一般に『目釘孔から刃先に向かって指4本分から刃になる』といわれているので、磨り上げられる前は写真の1番左の目釘孔、もしくは磨り上げられて無くなってしまった4つめ以降の目釘孔から指4つ分くらいまで刃があったかもしれない」とのこと。
1番左の孔から指4本分だとそこまで長さは変わりがなさそうな気もしますが、4つめ以降の孔が空いてたとするとちょっと長すぎるような……よくわからないですね。

刀 無銘 伝兼光


刀 無銘 伝兼光・全体
大関ヶ原展で立花宗茂所用として展示されていた3口の刀剣のうちの1口(大関ヶ原展出品目録では「刀 無銘 兼光」。解説に「備前の長船兼光の作ときわめられている」との記述あり)。
隣に飾られた雷切丸にくらべると明らかに身幅が広く、白っぽく輝いて綺麗(雷切は青い)ですがややゴツい印象を受けました。
学芸員さんが「伝説の刀」である雷切丸と比較してこの刀について「殺る気の刀」、「実戦で用いた刀」と仰っていたのが印象的でした。
そしてこの数日後、福岡市博物館の城井兼光を見て「ああ、これは『殺る気の刀』だな」と思いました(実際城井兼光とこの刀はよく似ている気がします)。
刃文が元と鋒付近で少し乱れているのが特徴(ちょっと今「黒田家の刀剣と甲冑」が手元にないので確実ではないですが、城井兼光はほぼ直刃だったと思う)。
刀 無銘 伝兼光・茎のあたりの刃文
刀 無銘 伝兼光・鋒付近の刃文
茎。この刀も大磨上げで無銘なのですが、先ほどの指4本理論から推測すると、元はかなり長かったのかもしれません。
刀 無銘 伝兼光・茎

刀 無銘 伝郷長弘


刀 無銘 伝郷長弘
三作「正宗・長弘・吉光」と呼ばれたという郷長弘作と伝わる刀(長弘銘のある刀は現存しないとのこと)。郷長弘は贈答用や鑑賞用として重宝したそうで、「元は長い刀だったはずだが、慶長年間に使いやすい長さにと短くされた」とのこと。
同じ南北朝時代の刀というせいか、伝兼光に近いものを感じました。
刀 無銘 伝郷長弘・鋒


短刀 銘 吉光(国宝、展示は6/5まで)


短刀 銘 吉光
この刀も戦国大名展に出品されていましたね。吉光の銘もきちんと入っています(写真じゃ見づらいですが)。
短刀 銘 吉光・茎
前回の講座でも少し語られていたのですが、この刀は立花家の台帳に明治あたりまで載っていない謎の刀だそうです。
「(享保名物帳か何かに名が残っていたら)ゲームで出たかもしれませんね」みたいなことを学芸員さんが仰っていてちょっと笑いました。
しかし文献や台帳に残らなくても「700年ずっと手を入れられてきた」と仰られていて、改めて凄いと思った次第。
ギャラリートークでは維持管理の話もあって聞いていて興味深かったです。

短刀 銘 安吉


短刀 銘 安吉
学芸員さん一推しの刀。安吉は左文字の子。
「小脇差」として伝わったとキャプションには書いてありますが、かなり小さいといった印象を受けました。しかし刃文とか地金の美しさは十分伝わってきて、一押しの理由はわかる気がします。
ケース一番端で照明が暗く、写真の写りが悪いです、すいません。

剣 銘 長光(重要文化財、展示は6/5まで)


剣 銘 長光
大関ヶ原展で立花宗茂所用として(中略)3口の刀剣のうちの1口。
立花宗茂が日の父の高橋紹運から「敵となった場合は自分を討て、さもなくばこれで自害しろ」と言われて譲られ、以後肌身離さず持っていたととのこと。
写真なかなか写しにくくて、一番いいのを選んだのですが、かなり微妙……。実物はもっと綺麗です。あと小さいです。

脇差 銘 貞宗


脇差 銘 貞宗
大関ヶ原展で立花宗茂(中略)うちの1口。
「貞宗」と聞いて「物吉や太鼓鐘貞宗の兄弟刀?」と思う方いらっしゃるかと思いますが、残念ながら貞宗作ではなさそうであるとのこと。大関ヶ原展では解説に「茎に「貞宗」の銘が切られているが後銘である」と書いた上で出展品目も単に「脇差」となっています。
キャプションによると、脇差にするため大磨り上げが行われているとのこと。

約1時間のギャラリートークで説明があった刀剣は以上なのですが、現在の立花家の所蔵品は刀ではなく槍や薙刀などが多いそうで、吉光の短刀と長光の剣の代わりに6/6から展示されているのも槍です。
「鎗 銘 柳川住源信国吉英作」と「鎗 銘 兼勝作」
他にも柳川ゆかりの刀剣として、大小の鎗や薙刀などが展示されていました。

また刀剣関連の品の展示もあって、これは文化講座でも出てきた御腰物由来覚(刀剣の由来を伝える台帳)。講座の資料を見ると、これが立花家が一番最初に作った「御腰物由来覚」の模様。
明和四亥年十月御腰物由来覚(雷切丸の由来)
雷切丸のことが書いてあるみたいでしたが、古文書についての知識がないのであまり読めず……。
古文書館にも雷切丸関連の資料が展示されているらしいのですが16時に閉館。残念。

そして、あまり大々的に宣伝されていませんが、森長可の鎗「人間無骨」の刀絵図が展示されていました。
新田義貞朝臣長刀図(人間無骨の写し)
学芸員さん曰く「写しの写しの写しくらいで線が甘く、大きな声で宣伝できない」(大意)と仰っていましたが、こんなところで見れると思っていなかったのでびっくりしました。

「コレクションの数の関係で刀剣展は毎年似たようなものになる」と学芸員さんはおっしゃっていましたが、とてもよかったと思います。
これを見て気になる刀がある方はこれから、もしくは来年以降ぜひ柳川へお越しください!
別記事にしましたが、御花の大広間の本丸っぽさ凄いですよ!



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回答の数によっては柳川にも行くプランになるかも?
協力のほどどうかよろしくお願いします!
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